日本ダービー ~ロゴタイプの敗因とダービーを勝つ資格
記念すべき第80回の日本ダービーを勝利したのはキズナと武豊。
なんと出来過ぎた結末。
もちろんこれはお見事というしかないし、
レース後、佐々木昌三調教師の記者会見での笑顔を見ていると、
なんだか幸せな気分にもなりました。
でも私が書きたいのはロゴタイプについて。
ロゴタイプの敗因に関係者は揃って距離を挙げるわけですが、決してそんなことはないはずだ、と。
これについては、基本的には柏木さんの意見に同意です。
柏木集保『重賞レース回顧』日本ダービー - netkeiba
鞍上はCデムーロ、一見するとソツのない完璧な騎乗だったようにも見えますが、
ロゴタイプの力を100%引き出したとは私にも思えませんでした。
ロゴタイプはスピードの持続力が持ち味で、直線で一気に引き離すような爆発力はなく、
上がり33秒台の脚を繰り出せるようなタイプではありません。
府中の直線で差し比べに持ち込むのは明らかに不利。
しかしレースでは前半1000mを60.3の平均ペースを5、6番手の位置で追走。
といっても前とは少し離れており、ほぼ中団、ライバルとの距離はあまりありませんでした。
そこは後ろを警戒したか、長い直線を意識したかわかりませんが、
結果的に、キズナ、エピファネイアの完全に射程範囲内でした。
ミルコは、弟に対して次のようにアドバイスをしていたとのことです。
「ワンペースの馬だから、状況に応じて乗り方が変わる」
皐月賞のハイペースなら中団で良かったでしょうが
あのペースなら、やはり正解は2番手だったように思います。
ロゴタイプのスピードを信じて、自分で競馬を作るくらいの乗り方をすれば、
この高速馬場で2分23秒台で乗り切ることもできたはずです。
すべての馬が、溜めれば必ずいい脚を使うというものでもありません。
最後、アポロソニックもかわせなかったからといって
スタミナ不足と決めつけるのは単純過ぎます。
乱暴ですけど、スタミナが切れる前にゴールを駆け抜けてしまえば良かったのです。
とにかく、消化不良なレースだったなあと見ていて感じたわけですが
別に、Cデムーロを責めるわけではありません。
これが日本ダービーということなんだなあ、と思います。
歴史的に、日本ダービーは、なかなか若手が勝てないレースでした。*1
それだけ特別な難しさ、重みがあるレースを
20歳の外国人騎手が勝ってしまっていいものか?
そこはやっぱり武豊が勝つべきレースだったということなんでしょうねえ。
武豊は馬の特徴をよく掴み、ダービーの難しさを知った上で、最高のレースをしました。
ダービー4勝のベテランの技が光っていました。
あとひとつ、付け加えると
ダービー馬はダービー馬から、という格言を思い出したこと。
ローエングリンの子と、ディープインパクトの子、優劣はつけられませんが
どちらが東京2400向きであったかは明らかですね。
それだけロゴタイプには難しい騎乗が求められたということです。*2
ロゴタイプはダービーを勝つ力は十分あったと思うものの
20歳の若造がダービーを勝つにはまだ早すぎたのだ、
今回は天に選ばれなかった、そういうことで納得することにします。
他馬についても少しだけ感想を。
エピファネイアは、普通に考えたら本命でも良かったくらいですが、
追い切りやパドックでの気配からは実に難しい取捨選択を迫られました。
マイナス8kgは状態が落ちているのか、究極の仕上げなのか、悩ましいところでしたが、結果2着。
折り合い面の課題が解消できなかった点が残念でしたね。
そして、ダービー馬はダービー馬から、という言葉はここにも生きている。*3
3着のアポロソニックは予想外。
デキが良かったのもあるのでしょうが、ちょうどいいペースだったんでしょうね。
展開的に少し離した格好になったので、後続が追いつくのに脚を使わされた分、
持ち前のスタミナとしぶとさでふんばりきった感じです。
ペプチドアマゾンは、キズナを買うなら当然抑えてしかるべき馬でした。
京都新聞杯も速い流れのなかで粘って2着にきていたので
キズナが差した後、内で粘っている馬候補に入れていましたが、惜しくも4着。
コディーノは、、ノリさんファンからしたら、これが報いだ!という敗戦になってしまいました。
スムーズに走れたら、この距離もこなせなくはないとは思うんですけどね。
検量室に戻ってきた武豊に真っ先に抱きついたのがノリさんだったというのは味わい深いです。
あと個人的にヒモ穴としてフラムドグロワールにも期待していたんですけどねえ。
この馬も速い脚に欠けるところがありますから、
もっと強気にいったほうがおもしろかった気がします。
まあでも枠が外だったし、ポジション取りに苦労したのはありますよね。