fuzutataの競馬ノート

馬の話題についてまったり書いていきます

天皇賞・秋 ~スローの瞬発力勝負、得意の形でスピルバーグ

最近の天皇賞・秋と言えば1分57秒台の決着が当たり前だったのだけれど、
今年は前半1000mが60.7のスローで、勝ち時計は1.59.7と珍しく遅い決着。
なんだか毎日王冠と似たような競馬になりましたが、
勝ったのはそこで最先着した、5番人気のスピルバーグ。
前回は脚を余しながらも差のない3着でしたが、今回はスムーズな競馬で巻き返し。
まるで先週のトーホウジャッカルのようでしたね。

スピルバーグのペース

勝因としては、このスローペースが大きかったのかと思います。
いや、スローペースというか、スピルバーグが得意とするペース。

スピルバーグの過去4戦は、すべて東京1800m。
4戦3勝で、負けたのも毎日王冠で脚を余しただけという実質パーフェクトな内容。
勝ち時計は際立って早いというわけではないものの、
上がりはいずれも33秒台の1位、もしくは2位を記録していました。
これが結局スピルバーグが得意とする形で、今回もこれらと似たようなペースとなったわけですね。

これよりペースが上がると、追走で脚を使って終いの切れが無くなってしまうだろうし、
1分57秒台の決着になったりしたら、その時計で乗り切るには不安があったと思います。
時計が早くなれば底力も試されることになるわけで、それでは分が悪かったでしょう。
他馬がこのペースで力を余す展開となった中で、
持てる能力をフルに発揮できたのがスピルバーグだった、ということだったのかと思います。
スクリーンヒーローのJCとか、その馬が勝ってしまう謎のペースゾーンというのがあって、
今回もそれにハマったのだと私は解釈しています。

それはそれとして、北村騎手がスピルバーグの力を最高に生かす騎乗をしたのは見事でした。
好枠からロスなくちょうどいい位置を取ると、やや外目に出しました。
前走でロスから脚を余したことや、あるいは春のオークスのミスも頭にあったのかもしれません。
とにかくスムーズな競馬を心掛けた印象で、直線も早めに外に出して末脚を爆発させましたね。

藤沢調教師も長いことGⅠを勝っておらず、約8年ぶりとのことでしたが、
ようやく結果を出してくれました。
一口でも毎年有力馬を預かっているわけで、これで出資者の不安が多少でも和らぐ…のでしょうか。
私も今度お世話になりますので、引き続き頑張って欲しいです。
 

2着は、2番人気のジェンティルドンナ。
スローの展開のインで3番手で、絶好位かと思われましたが、
最後はイスラボニータを交わすのが精一杯で、スピルバーグには一気に差されてしまいました。
衰えは無いとはいうものの、3歳時のパフォーマンスを思えば陰りが見えるのは否定できない感じ。
去年の秋天もジャスタウェイに完敗、JC勝ちも僅差、ドバイSC勝ちも相手が弱かった感。
古馬になってからは微妙に斤量に泣いている感じなのかな。
強いは強いのだけど、直線での爆発力に陰りありで、JCでも決め手のある馬に要注意です。

3着は、1番人気のイスラボニータ。
外枠が不安視されましたが、素早く前につけられたし、大きなロスはなかったと思います。
ただ、直線で一旦は抜け出しながら、最後は2頭に交わされる結果。
ルメール騎手は「抜けだしてから遊んでしまった」とコメントしていましたが、
器用なレース振りと一瞬の抜け出す脚の早さが強みなので、
スローの東京での末脚比べはあまり得意とする形では無かったのかと思います。
まだ3歳なので今後の成長に期待したいですが、
古馬の王道G1路線だとちょっと勝ち切るのは大変かもしれないですね。

人気どころで凡走した組

3番人気のフェノーメノは9着。
夏の調整は万全で、春より出来はいいということでしたが、
ゲートでガタツキを見せたりしていて、まだ精神面が出来ていなかったのですかね。
でもそんなことより、この展開で後方から差し込める決め手はないので、
あの位置取りでは厳しかったでしょう。持ち味を活かすためには前に行かないと。
もしかしたら蛯名騎手は2番手とか積極的な競馬をするのでは?とも思いましたが、
長距離の競馬に慣れてしまっていて、行けなかったかもしれません。

4番人気のエピファネイアは6着。
春よりは体調が上がっていて、まともに走れる状態にはあったのかと思いますが、
やっぱり一線級相手との決め手比べだと分が悪い感じ。ディープ産駒には勝てない。
でも厳しい展開になれば、去年の菊花賞馬で、皐月、ダービー2着した底力がものをいうはずなので、
JCでの巻き返しに期待したいですね、、
だけど、やっぱり今年もスローになっちゃうかも。もどかしい。

6番人気のデニムアンドルビーは7着。
位置取りとしてはスピルバーグと同じようなところでしたが、こちらはさらにインで溜める形。
もちろん狙いとしては正しいのですが、インにいた分、進路取りに少し苦労しましたかね。
スローの瞬発力勝負はこちらも望む形だったので、惜しい競馬でした。
スピルバーグが外目からスムーズに脚を伸ばしてきたのを見ると、
結果的に浜中騎手はインにこだわりすぎたかなと思います。
北村騎手が前走などを教訓にしたかスムーズな競馬を心掛けたのと明暗が分かれましたね。